ジレット剃刀の100年前の特許調査


Gillette(以下、ジレット)のカミソリ、特に替刃のビジネスモデルは知財でも良く紹介されていますが、実際の所、どうなのか?見ていきます。


US特許庁のHPでは従来very thin sheet-steelは無かったとされていますが、本当でしょうか?


100年以上前の歴史を無料DBで探ってみます。


使ったのはエスパスネット。

ここまで見れるとは、隔世の感慨。一歩も町に出てみて探さず色々出来ました。


さてジレットのカミソリ、基本特許は以下


US775134号が有名です

これにファミリー特許として

US775135の 製造方法makeが出願され

いずれも

発明者:Gillette king C Gillette


出願人:FED TRUST COMPANY

になっています。


従来技術として刃をつかむものはありました。

US400418A


この構造なら替刃自体は出来そうです。

従来から二点式の保持はあるようです。



US672204Aでは替刃に出来そうな技術が開示されています。



断面図自体から解りずらいですが、薄くする課題も認識されて、刃をえぐっているようです。


いずれも1903年以前に公開されております。


資料とかでは「安全剃刀の発明以前は、ヒゲを剃るときには長い直刃の剃刀を使っていました」とされていますがジレット近くまで技術は進んでいたようです。


従来の課題が「剃刀は使い慣れないと非常に危険で研ぐにも熟練が必要な道具なため、専門の理髪店で剃ってもらうのが一般的でした。」だと基本特許は凄いが、

この従来技術をみて皆さんはどう見えますか?


こうみていくと

特許だけでなく売り方が上手かったと言えるのではないでしょうか?


実際の当時の状況が書かれた資料を見ると

使い捨ての替え刃で儲けるジレットさんは、
1895年当時、王冠メーカークラウン コルク&シールの営業マンとしてコカ・コーラの蓋みたいなのを売っていて社長から消耗品ビジネスの将来性を叩き込まれたようです。

ある時ホテルに泊まり、カミソリの替え刃を作ることに気付いて発明。

消耗品だから研ぐ必要もなく鋼鉄を薄く伸ばせば行けるとMIT の研究者とともに上記の発明をしたようです。
ただし会社を立ち上げた1903年の初年度本体51個の 替刃168枚しか売れなかったようです。

その後、営業や広告により売れだし、
ターニングポイントとなったのが
WWe1で兵士の個人装備として正式採用されたこと。


出典:三谷宏治著(2014)ビジネスモデル全史 100ページより


資料とかでは余りの売れた数の少なさから1904年に発売された ともされるジレットの両刃。

US775135号とともに

カミソリに関する替刃の特許は1921年に切れました。

その後、各社からジレット(Gilette)互換の3つ穴の替刃が相次いで発売されるようになったそうです。


ホールド部分を一度ジレットを購入し替刃は安い刃を購入している顧客が増えたことから


後で述べるように刃の穴形状を複雑にして容易に接続できないようにしています。


中でも1929年にProbakというブランドが新しい替刃のデザインで意匠登録、特許出願を行っており、これが失意の泥沼となる知財(特許)訴訟になったようです。

最終的にジレットがProbakを買収して終結しました。


三谷先生の本だとジレットさんは、特許訴訟に巻き込まれ破産に近い状態で1932他界したそうです。


前後してジレットはスロット(溝)の入った替刃の特許を出してOld Typeの3点で替刃を保持していたタイプの販売を中止。


当時、既に特許が切れていた3つ穴の替刃を製造していた企業の3つ穴の替刃はセットできないようになりました。


その後、替刃のポイントとなる複雑な穴形状の出願が数多く出ていますので参入障壁になったようです。


US2664999A複雑な穴形状自体は戦後出ています。



タイプHなどの時期でしょうか?形が微妙に変化して古いスロットだと収まらないようにしているため細かい違いが有りました。


出典:A Safety Razor Compendium: The Book

著者: Robert K. Waits

 

部品番号はアメリカの製品らしくアルファベットの順列繰り返し

1930 A

1954 Z

1955 A

1979 Z

その後も繰り返しらしいです。


また、買い替えを促進するため


1971年には世界初の2枚刃システムとなる「GII (Trac II)」が発表されました。

その後、首振り式にしたり改良を進めます。


2枚刃にし、その後3枚、5枚刃へと枚数を増やして剃り残しを無くしていきます。 

「2006年、世界初の5枚刃+ピンポイントトリマーが搭載された「フュージョン 5+1」を発売」

https://gillette.jp/ja-jp/gillette-blade-refills


流石に現在では10枚刃とかではなく、周りに刃に負けないような構造を追加しています。

色々付加されながらも基本構造を大きく変えないまま、世界各国で用いられているのは偉大な発明と言えるのは間違いないです。


おっと、知財担当向けを標榜しているのにクレームをつけ忘れました。

 

基本特許US775134Aのクレーム(日本における特許請求の範囲)は全部で30クレーム

意訳すると

CL1;安全・剃刀のためのフレキシブルで脱着可能なブレード製造

CL2;エッジ部の剛性のため外的なサポートする脱着可能な剃刀ブレードの薄くてフレキシブルな製造

・・・

ジレットさんの宣言も入っています。

パイオニア特許だからほぼ1行クレームで登録になったと言ってよいのでしょうか?

 

おっと、三谷先生が新しく本を出されていてジレットの事例が

よりパワーアップして載っているそうです。

著作権の関係で載せられなかったジレットの時系列の推移と

発売当初の金額等も載っているので、興味が有れば読んでみてください。

アフォリはしていないので検索してみてください。

『新しい経営学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)


忘れたお詫びに、ファミリー特許US775135Aのクレームも貼ります。

CL1ブレードとコンビネーションする剃刀において、

ホルダーには、ハンドルとブレードと、ガードとを通して通路をアレンジする位置決めピンと、

バックとガードの間でブレードを挟み込む方法

ブレード2

カッティングエッジ3

バック4

ガード5、ガードの歯は8

ピンは11,13

ソケット10

 

薄い板の保持のために挟み込むのは

ちゃんとした内容が開示されており、こちらも基本特許ですねぇ。




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