DMM勝訴

ウォッチしてたら、主題の訴訟を見つけたので関連訴訟とともに見ていきます。

 

平成30年(ネ)第10071号 損害賠償請求控訴事件

(原審 東京地方裁判所 平成29年(ワ)第22417号)

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/913/088913_hanrei.pdf

 

鶴岡稔彦 裁判官

山門 優 裁判官

 

少し長いですが、対象特許のCL1を書きだします。なお下線を引いたところが今回問題になったところです。

【請求項1】

登録者の端末と通信ネットワークを介して接続したサーバであって、

人間関係を結ぶことを希望している旨の第一のメッセージと人間関係を結ぶことに合意する旨の第二のメッセージとを交換した登録者同士の個人情報を記憶している記憶手段と、

第一の登録者が第二の登録者と人間関係を結ぶことを希望している旨の第一のメッセージを第一の登録者の端末(以下、「第一の端末」という)から受信して第二の登録者の端末(以下、「第二の端末」という)に送信すると共に、第二の登録者が第一の登録者と人間関係を結ぶことに合意する旨の第二のメッセージを第二の端末から受信して第一の端末に送信する手段と、

上記第二のメッセージを送信したとき、上記第一の登録者の個人情報と第二の登録者の個人情報とを関連付けて上記記憶手段に記憶する手段と、

上記第二の登録者の個人情報を含む検索キーワードを上記第一の端末から受信する手段と、

上記受信した第二の登録者の個人情報と関連付けて記憶されている第二の登録者と人間関係を結んでいる登録者(以下、「第三の登録者」という)の個人情報を上記記憶手段から検索する手段と、

上記検索された第三の登録者の個人情報を第一の端末に送信する手段と、

を有してなることを特徴とする人脈関係登録サーバ。


 

当裁判所の判断では

「・・・そして,本件各発明の特許請求の範囲の記載及び本件明細書によれば,

本件各発明は,登録者相互間の合意によって人間関係が結ばれたとき,

記録手段を備えたサーバに,人間関係を結んだ登録者の個人情報又は識

別情報を関連付けて記憶することで,第一の登録者が,自己が人間関係

を結んでいる第二の登録者の個人情報又は識別情報を含む検索キーワー

ドを用いて,第二の登録者と人間関係を結んでいる第三の登録者の個人

情報又は識別情報を検索することができ,第三の登録者と人間関係を結

ぶことができるものであり,これにより,より広範で深い人間関係を結

ぶことを積極的にサポートする人間関係登録システムを提供するという

課題を解決するものであると解される。

イ(イ) もっとも,下記のとおりの本件優先日当時の従来技術に照らせば,

上記(ア)のとおり本件明細書に従来技術が解決できなかった課題として

記載されているところは,客観的に見て不十分なものというべきであ

る。

a すなわち,本件優先日前の文献である乙2の1には次の記載がある

(翻訳は乙2の2による。以下単に「乙2」という。図面については

別紙乙2図面目録のとおり)

【0018】【0022】【0039】【0043】【0051】【0072】【0073】

c 以上のとおりの本件優先日当時の従来技術に照らせば,より広範で

深い人間関係を結ぶことを積極的にサポートする人間関係登録システ

ムを提供するとの課題について,上記のような解決手段が存在したも

のということができる。

ウ このように,本件明細書に従来技術が解決できなかった課題として記載

されているところは,優先権主張日の従来技術に照らして客観的に見て

不十分なものであるから,本件明細書に記載されていない上記イ(イ)のと

おりの従来技術も参酌して従来技術に見られない特有の技術的思想を構

成する特徴的部分を認定すべきことになる。

 

そして,上記イ(イ)のとおりの従来技術に照らせば,本件各発明は,主

要な点においては,従来例に示されたものとほぼ同一の技術を開示する

にとどまり,従来例が未解決であった技術的困難性を具体的に指摘し,

その困難性を克服するための具体的手段を開示するものではないから,

本件各発明の貢献の程度は大きくないというべきであり,上記従来技術

に照らし,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する部分につ

いては,本件各発明の特許請求の範囲とほぼ同義のものとして認定する

のが相当である。

エ そうすると,被告サーバが構成要件1D及び2Dの構成を備えていない

のは前記1に説示のとおりであるから,被告サーバは本件各発明の本質

的部分の構成を備えるということはできず,均等の第1要件を充足しな

い。」


引用終わり

 

つまり、従来技術に解決方法が開示されていたため、均等は無理と言われています。

 

課題を大きく書いても、裁判所の方で従来技術との関係で

課題を改められるという一例を見て頂きました。

前回、課題は広い方が良いのか、ピンポイントかという話がありましたが、

結局のところ裁判所に狭められられるくらいなら、妥当な程度限定的な課題を書くのが

落としどころという事でしょうか?

 

「とき」という用語の使い方

お師匠さんに教えて頂いた時、

経時的な要素が入った発明が「方法の発明」

時間の流れがあると立証も難しいので、

出来る限り、モノで書けないか検討をすること。

と言われたことを思い出しました。

 

「とき」という条件なのか時間なのか、本来なら「した場合」にするべきなのか

色々考えさせられます。

そもそも発明の特徴部はそこではないように見えますので、

この限定自体が不要というのが私の後知恵です。

 

関連訴訟

ちなみに、DMMを訴えた特許とそのファミリー特許でミクシィの判決が出ていて、こちらでも原告は負けています。

対ミクシィ

【平成28年(ワ)第14868号 損害賠償請求事件】

「各特許の実施料相当額及び弁護士費用の合計114億1140

万円のうち1億円並びにこれに対する不法行為の後の日である平成28年6月

1日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合」

 

大きく出ましたね。114億円だそうです。高裁まで行きましたが判決は変わらず。

 

広辞苑第六版,大辞林第三版,用字用語新表記辞典 及び最新法令用語の基礎知識改訂版

といった辞書により「とき」という用語を明確にしようとしていましたが、裁判官は原告の主張を認めず。

 

(原告は)

「情報処理の分野においては,およそ,「送信するとき」

であろうと「送信したとき」であろうと,(送信と他の処理との)先後関

係を問わない,ある程度幅を持った表現(曖昧な概念)として同じように

理解される(技術用語として一般的にそのように用いられる)ということ

までを説明するものではない(むしろ,甲15には,オンラインで株や証

券取引をする場合のように最新情報の送信と記憶との間に厳密な同時性が

求められる場合があることを前提とする記載も存する。)。結局のところ,

各意見書は,被控訴人サーバとの関係で充足論についての結論を先取りし

ているにすぎず,本件各発明のクレーム解釈としては採用できないものと

いわざるを得ない。・・・

 

(均等の話をしていなかったため)時機に後れていることは

明らかであるし,そのことに関し控訴人に故意又は重大な過失が認められるこ

とも明らかといえる。」

 

構成要件1D及び1Fの「送信したとき」における「とき」が「ある程度の幅をもった時間」

を意味するものということはできない。また,本件明細書等1をみても,「送信し

たとき」の「とき」について,「条件」ではなく「時間」を意味することをうかが

わせる記載はない。したがって,原告の上記主張は採用することができない。

 

として、文言非侵害、均等論の判断まで行かなかったので、今回のDMMでは

こちらも記載してリベンジしたような状態です。

結果的には裁判所に返り討ちにされました。

 

原告の筆頭弁護士はいずれも有名な方で

下のアメリカでも一流法律事務所を使ったのに残念でした。


あと、随分前になりますが、フェースブックも訴えていたんですね。

トライアルまで行かずに終結済みです。和解条件等は不明。

 

Mekiki Co. Ltd. et al v. Facebook Inc.

1:09-cv-00745

Filed: 10/07/2009

Closed: 06/21/2010

今回の訴訟対象 特許第3987097号のUSファミリー特許

デラウェア州で提起するもフェースブックの移送手続きが認められ

北カリフォルニア州に移送されるとともにクローズ

 

Mekiki Co. Ltd. et al v. Facebook Inc.

5:10-cv-02721

Filed: 06/22/2010

Closed: 05/12/2011

 

対象特許はUS6,879,985, 7,493,342, and 7,496,603

ReexamによりDismissになっています。

2011/04/05訴訟対象3件とも再審査請求

6,879,985 (2005/04/12) 

2013/02/19 第一回再審査の再審査証明書

7,493,342 (2009/02/17) 

2013/12/17 第一回再審査の再審査証明書

7,496,603 (2009/02/24)

証明書無

となっていますが、その後訴えた記録は残っていません。


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